P22 開発をリードする2つの役割(プロダクトオーナー・スクラムマスター)

一定期間に制限されたスプリントをベースとしたプロセスを円滑に進めるために、
スクラムでは、リーダーシップをプロダクトオーナーとスクラムマスターという2つの役割に分けている。

- プロダクトオーナー(Whatを担う)
「開発チームの作業とプロダクトの価値の最大化に責任を持つ」(スクラムガイド p.4)
環境の複雑さの矢面に立ち、作り出すべき何かを確定させていく。
また、刻一刻と移り変わる変化に応じて、開発するべきプロダクトの内容をメンテナンスし、
開発するべき何かを変化に適応させていく。
プロダクトオーナーは、名前が示すとおり、プロダクトが何であるべきかについて責任を負う。

- スクラムマスター(Howを担う)
スクラムの理解と成立に責任を持つ」(スクラムガイド p.6)
スクラムマスターは、スクラムチームにスクラムの理論・プラクティス・ルールを守ってもらうようにする(同 p.6)とされている。
スクラムマスターは、変化の激しい環境にさらされるスクラムチームが、
多種多様なコミュニケーションを通して開発に取り組むうえで、
スクラムをいう開発プロセスを用いて、より円滑な開発を行う事を支援する。
スクラムマスターは、どのようにすれば効率良くプロダクトを作り上げられるのか、
コミュニケーションが円滑にまわっていくのかについて責任を負う。

一般には、リーダーは1人の人物が担うものであるとされている。
にもかかわらず、スクラムがリーダーシップをプロダクトオーナーとスクラムマスターという2つの役割に分けて定義しているのは、
2つの軸「課題達成思考」と「人間関係思考」のそれぞれに対応するためである。
課題達成のために何を作るべきかを明確に定め、責任を持つのがプロダクトオーナーである。
人間関係を始めとするコミュニケーションをどのようにshて円滑に進めるのかに責任を持つのがスクラムマスターである。
リーダーという言葉で一般に想起される、チームをぐいぐい引っ張っていく存在は、どちらかというとプロダクトオーナーである。
スクラムマスターは「サーバントリーダー」、つまり「成果を上げるために支援や奉仕するリーダー」(スクラムガイド p.6)である。